こんな経験ありませんか?「職場いじめ」のよくあるパターン

職場のいじめは、ガマンしているだけでは解決しません。
職場で毎日つらい思いをしていても「これっていじめなのかな」「仕事だから仕方ないのかな…」となかなか自分では判断しにくい場合もあります。
そこでまずは職場いじめのよくある6パターンをご紹介します。
自分がされた行為を客観的に認識することによって、対応策も考えやすくなります。
下記のような行為をされたら、それはいじめです。ぜひ参考にしてみてください。
① 集団で無視
仲間はずれなどの嫌がらせ
職場で挨拶をしても無視される。上司や同僚が会話をしてくれない
上司と口論してから、自分だけ資料が配布されない
ひとりだけ別室で仕事をさせられる
すぐそばにいるのに、他の人を通して連絡が行われる
職場のみんなが参加する送別会や忘年会に自分だけ声をかけられない
② 暴力や暴言・嫌み・陰口
殴られたり、蹴られたり、上司や先輩から直接的な暴力をふるわれる
書類を提出すると「やり直せ!」と怒鳴られて書類を投げつけられる
同僚の前で「バカ」「無能」「死ね」など暴言を浴びせられる
仕事で成果を出すと「女のくせに生意気」「女だから特別扱いされている」などと嫌みを言われる
妊娠中に時短勤務にしたら「周りの迷惑を考えてない」と陰口を言われる
③ 無理な仕事の要求・押しつけ
一日ではとてもできない、無理な量の仕事を要求される
達成不可能なノルマを常に与えられる
終業間際に過大な仕事を頻繁に押しつけられる
ほかの人の担当業務でやり方も知らない業務を、ちゃんとした引継ぎもなく押しつけられる
④ 仕事を与えられない・外される
自分の職務とは関係ない、草むしりや倉庫整理などを毎日やらされる
他の人よりも与えられる仕事量が極端に少ない
妊娠したことを上司に伝えたら、辞めてほしいことを遠回しに言われたり、直接言われたりする
「女には任せられない」とプロジェクトから外される
⑤ 仕事の妨害・手柄の横取り
・濡れ衣を着せられる
上司から誤った指示をされたのに、責任を取らされて始末書を書かされる
仕事に必要な情報や資料を与えられない
徹夜や深夜残業を連日強要され、手柄だけ上司に横取りされる
他の人のミスなのに濡れ衣を着せられ、職場に悪いうわさを流される
⑥ プライベートへの干渉
有給休暇を上司に申請したら、執拗(しつよう)に理由を質問される
家族や恋人についてしつこく聞かれる
携帯電話を勝手にのぞかれる
GPS付きの携帯電話で行動を監視される
毎日のように深夜までかかる時間外の労働を命令される
「仕返し」「耐える」はNG!「いじめ防止」は企業の義務

職場のいじめ・嫌がらせは
「ハラスメント」
職場のいじめは、苦しいものです。悔しくて仕返しをしたくなる人もいるでしょう。
しかし、暴力や言葉で仕返しをしても、問題が悪化するだけで何も解決しません。
ましてや暴力は違法行為です。
だからといって黙って我慢していても、いじめはますますエスカレートしてしまう可能性があります。
職場でいじめを受けたら、まずは上司に相談しましょう。
直属の上司からいじめを受けている場合は、上司の上司、人事や総務、社内の相談窓口に報告しましょう。
職場のいじめは、被害者だけの問題ではありません。会社には職場いじめを防止する義務があります。
相談をすれば、真摯(しんし)に受け止め、きちんと対応してくれるはずです。
深刻な社会問題になっているパワハラ(パワーハラスメント)、セクハラ(セクハラ)、マタハラ(マタニティハラスメント)などの「ハラスメント」とは、「いじめ・嫌がらせ」のことをいいます。
最初に紹介した「職場いじめ」のよくあるパターンは、実はすべてハラスメントに該当します。
企業には「ハラスメント防止」の
義務がある
企業には、これらのハラスメントを防止する義務があります。
セクハラやマタハラについては、2017年1月に男女雇用機会均等法が改正。
職場における性的な言動や妊娠・出産などによって労働者が不利益を受けたり、就業環境を害したりすることがないように防止措置を取ることが企業に義務づけられました。
パワハラについても、2019年5月に企業・職場での防止を義務づける「改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)」が成立しました。これによって必要な防止措置を取っていない企業は、是正指導の対象となりました。
ハラスメントの加害者は、就業規則上の懲戒処分を受け、職場での地位や信用を失い、刑事罰などの法的責任も問われる可能性があります。さらに、ハラスメントを放置していた企業も法的責任を問われることがあります。
倫理観の欠如した企業として社会的信用も失い、経済的損失が発生するケースもあります。
つまり職場のいじめや嫌がらせは、会社にとっても重大な問題なのです。
だからこそ、会社に相談をすれば、「他人ごと」ではなく「自分ごと」として真剣な対応をしてくれるはずです。
相談をしても、うやむやにしようとする上司や会社の相談担当者がいたら、企業の義務としてきちんとした対応するように求めましょう。
職場でいじめられやすい人のタイプは?

いじめられる原因を探り、改善すべき点があれば直す
いじめは100%相手が悪いです。職場のいじめや嫌がらせは、個人としての尊厳を不当に傷つける許されない行為です。
ただし、いじめられる原因を探ることによって、いじめや嫌がらせを自衛できる場合もあります。
いじめられやすい人は、大きく分けていくつかのタイプに分けられます。下記の8つの例をチェックしてみてください。
おとなしい、意見が言えない、
周囲に合わせがち
このタイプは、周囲との関係を第一に考えて行動する、協調性の高い人といえるでしょう。
協調性が高いことは長所でもありますが、仕事においては自分の意見を主張したり、主体性のある行動を求められたりする場面があります。そうした発言や行動が見られないことにイライラして、いじめや嫌がらせをする人がいるのかもしれません。
また、セクハラやマタハラは、嫌がらせを受けた当事者が「拒否」や「拒絶」を示したかどうかが争点になることがあります。
嫌なことに対しては「嫌だ」と意思を表明することが大切です。
ミスを繰り返してしまう
このタイプは、細かいことを気にしないおおらかな人かもしれません。
ただし、仕事においては正確さも大切です。
普段からミスを繰り返す人は、大事な場面で致命的なミスを犯してしまう危険性もあります。
周囲に迷惑をかけないよう自己チェックを徹底し、ミスを防ぐ仕組みをつくるなど、仕事に対する姿勢の変化を示すことが、職場いじめの防止につながるかもしれません。
理由のない遅刻・欠勤やサボり
このタイプの人は、ルールや常識に縛られない人ともいえるでしょう。
ただ、時間やルールを厳守することは社会人の基本です。管理職は特にそれを重視する傾向があります。
時間や基本ルールを守った上で、柔軟性を発揮して成果を出す。
それがいじめや嫌がらせを防ぐ、有効な手段になるかもしれません。
指導やアドバイスに反抗的
このタイプは、こだわりや信念を持っている、主体性が強い人かもしれません。
ただ、仕事においては、指導やアドバイスを受け入れる素直さも大切です。
上司や同僚に「頑固」や「生意気」といった悪い印象を与え、いじめや嫌がらせのきっかけを与えてしまう可能性があります。
素直な態度を示すことで、周囲の評価が変わるかもしれません。
自己主張が激しすぎる
このタイプは、自分の意見に自信を持ち、それを強く推進できる人でしょう。
ただ、自分の主張にこだわるあまり、他者の意見や考えを軽んじる傾向があるのかもしれません。
相手の話をよく聞き、人の意見にも耳を傾けることで、いじめや嫌がらせを抑止することができるかもしれません。
容姿がいい
このタイプは、相手から見て容姿が優れているという理由だけで妬みや嫉妬を買ってしまう傾向があります。
自分ではそんなつもりがなくても、自信に満ちた言動や堂々とした態度が、相手の反感を買ってしまい、いじめや嫌がらせを引き起こしてしまうケースがあります。謙虚な言動を心がけることで、周囲の反感を抑えられるかもしれません。
仕事ができる
このタイプは、「仕事ができるから調子に乗ってる」と本人の努力などは考えず、表面的な部分だけをみて八つ当たりや逆恨みをして、いじめや嫌がらせに発展しているのかもしれません。
ただ、仕事ができる人には、パワハラをする人が多いともいわれています。
職場には頑張っても成果を出せない人もいます。
自分の基準で考えず、他者にも配慮し、コミュニケーションをとる必要があるのかもしれません。
相談する前にチェック!「職場いじめ」対策別ノウハウ
いじめ対策では事実が大事!証拠を集めよう
ここまで職場いじめのよくあるパターンや、いじめられやすいタイプについて見てきました。上司や会社に相談する、自分にも直すべき点があれば改善する、こうした方法で解決できない場合は、外部の力を借りる、転職するなど、別の手段が必要になります。職場いじめの相談先は、大きく分けて以下の4つがあります。
<職場いじめの相談先>
① 上司
② 社内の相談窓口
③ 労働局
④ 社外の相談先
どの場合でも大切なのは、いじめの証拠を集めることです。
いじめの加害者は、懲戒処分を受けたり、場合によっては法的に裁かれたりします。
それだけに相談相手も、いじめの報告が事実であるかを慎重に確認します。
事実であることを伝えるためには、何らかの証拠が必要です。相談をする前に、下記のような証拠を集めましょう。
<職場いじめの証拠例>
日々の記録やメモ
客観的な第三者による証言
メール、SNSの文章
医師による診断書
味方になってくれる同僚がいる場合は証言してもらうのも有効な方法のひとつです。
大事なのは、いじめが事実であると相手に知ってもらうこと。
そして、感情的にならず、事実を冷静に伝えることです。
実際に相談する際にはどうしたらいいのか、相談先別に大事なポイントや注意点をお伝えします。
① 上司に相談するときの
ポイントと注意点
職場いじめの相談を最初にすべき相手は、やはり直属の上司です。
親身になって相談に乗ってくれる上司なら、下記のような対策をしてくれるでしょう。
- いじめの加害者を直接注意してくれる
- 人事に相談し、異動や懲戒処分の検討を促してくれる
- 職場全体にいじめ禁止を周知してくれる
注意点としては、いじめの加害者が上司のお気に入りの社員や成績の良い部下だった場合、上司が加害者の味方になる可能性を考慮することです。
そういうときのためにも、いじめの証拠を集めることが重要です。
上司がいじめの張本人だったり、いじめに加担していたりする場合は、上司の上司、あるいは社内の相談窓口に訴えましょう。
② 社内の相談窓口に相談するときの
ポイントと注意点
人事や総務、社内の相談窓口などに報告するのも有効な解決方法です。
会社には、ハラスメントを防止する義務があります。下記のような対策をしてくれるでしょう。
- いじめの加害者の上司に相談や注意をしてくれる
- 異動や懲戒処分を検討してくれる
- 会社全体でハラスメント防止措置を徹底してくれる
注意点としては、残念ながらハラスメント防止に積極的に取り組んでいない会社もあることです。
相談してもうやむやにされ、何の対応もしてくれないかもしれません。
そうした場合には、以下で紹介する労働局や社外の相談先に連絡しましょう。
③ 労働局に相談するときの
ポイントと注意点
職場でいじめを受けた場合など、労働者がトラブルに巻き込まれた際の相談先として、都道府県の労働局や労働基準監督署の総合労働相談コーナーがあります。
電話で相談することができ、総合労働相談コーナーでは相談員が対応してくれます。
労働局や労働基準監督署に相談した場合、下記のような対策をしてくれるでしょう。
- 相談員が会社に連絡し、事実確認や指導をしてくれる
- 企業と労働者のトラブルの和解を仲介してくれる
- 企業に対してハラスメント防止の是正指導をしてくれる
注意点としては、事実確認などに時間がかかるケースが多いことです。
また、いじめが暴行などの刑法に結びつかない場合、労働基準監督署では責任を追及できないことがあります。
自分が受けているいじめが違法行為に当たるのかどうか、事前に調べてから相談するとスピード感のある対応をしてくれることが期待できます。
④ 転職するときのポイントと注意点
これまで挙げた方法でも解決できない場合は、転職するのもひとつの選択肢です。職場いじめによって、自分でも気づかないうちに心を病み、精神疾患にかかってしまう人も少なくありません。
思い切って環境を変えることも検討してみましょう。
転職する際の大事なポイントと注意点をお伝えします。
一般企業の場合
働く環境を変えれば、人間関係もリセットすることができます。
上記の「職場でいじめられやすいタイプ」でお伝えしたように、いじめられる原因に心当たりがある人は、それを改善することでいじめや嫌がらせを防止することができるでしょう。
注意点としては、会社在籍中に転職を決めた場合でも、無断で会社を休まないこと。
会社員は、会社と労働契約を結んでいます。
無断欠勤すると「労働契約不履行」となり、減給等の重い措置が取られます。
いじめがつらくて、どうしても会社に行きたくない場合は、有給休暇を申請するなど、会社のルール内で休みを取りましょう
退職手続きを行うと、会社から「離職票」を受け取ります。
職場いじめが退職の原因の場合は、離職票に「自己都合退職」と書かれていても「会社都合退職」扱いにすることで失業保険を有利に受給することができます。
ハローワークで職場いじめの証拠を提出して「会社都合退職」に変更してもらいましょう。
派遣の場合
職場いじめがつらいのは、気軽に相談できる相手がいないケースが多いことです。
派遣スタッフは、専任の担当者がつきます。
困ったことがあったらいつでも相談でき、自分で言わずに担当者を通じて問題解決を図ることもできます。万全なサポート体制が、派遣会社を通じて仕事を行う大きなメリットです。
注意点としては、ずっと同じ職場で働き続けることはできないこと。3カ月や6カ月などと契約期間が決まっている一般派遣は、派遣先と派遣スタッフの双方合意のもと契約更新が繰り返されます。
最長3年までの長期就業が可能ですが、法律が定める「派遣期間の制限」があり、ずっと同じ職場で働き続けることはできません。
ただし、契約満了後には別の就業先を選択することが可能です。
紹介予定派遣なら、実際に派遣先で派遣スタッフとして働いた上で派遣先に就職することができるので、職場の雰囲気や人間関係を事前に確かめることができます。
職場いじめが不安な人は、こうした方法で新しい仕事を探すのも有効な選択肢のひとつといえるでしょう。